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放置した奥歯と認知症の関係は?咀嚼が脳の働きを支えるしくみを解説

放置した奥歯と認知症の関係は?咀嚼が脳の働きを支えるしくみを解説

奥歯の噛みにくさと物忘れ、その気になる関係を優しく解説します


数年前に失った奥歯をそのままにしていて、最近は固いものが食べづらい。物忘れも増えた気がして気がかり——そんなお悩みはありませんか。噛む動きは脳への刺激と関わりがあると考えられています。本記事では、噛みにくい状態と認知症リスクの関係、お体への負担を抑えた治療の選択肢、ご自宅でできる工夫までを、やさしくお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • 奥歯を失い噛む機会が減ると、脳への刺激低下や認知機能への影響が指摘されています
  • 入れ歯やインプラントなど、体調や費用に応じた無理のない治療方法を選べます
  • 食事の工夫や口周りの体操など、自宅でできる咀嚼力を支える習慣も紹介しています

「しっかり噛めない状態」と認知症リスクの深いつながり

「しっかり噛めない状態」と認知症リスクの深いつながり

奥歯で噛む運動が脳の血液循環を促す仕組み


食べ物を噛むとき、あご周りの筋肉は伸び縮みを繰り返します。この動きがポンプのような働きをして、頭部へ向かう血液の流れを助けると考えられています。ガムを噛んでいる間に脳の血流量が増えたという報告もあり、噛む動作そのものが脳への刺激になり得るという見方が紹介されています1。奥歯は噛み砕く力の中心を担う部分。ここが欠けたままだと、食事のたびに得られていた刺激が減ってしまう可能性があります。


噛む回数の減少が記憶や学習を司るエリアに与える影響


噛む刺激は、あごや歯の周りにあるセンサーを通じて脳へ伝わります。この情報は記憶や学習に関わる領域とも結びつくとされ、咀嚼の回数が減れば、そうした部位への刺激も乏しくなる可能性が指摘されています。歯の数が少ない方ほど認知機能の低下やアルツハイマー病のリスクが高まる傾向を示した疫学調査もあり、お口の健康と脳の働きを切り離さずに考える視点が重視されつつあります12。とはいえ、歯だけが原因と断定できるものではありません。生活習慣や全身の状態も含めた予防が大切です。


歯の数が減ったお口を放置することで生じる全身の健康リスク


噛みにくさが続くと、食事は自然とやわらかいものへ偏りがち。肉や野菜が減ればたんぱく質やビタミンが不足し、筋肉量の減少(サルコペニア)や低栄養につながることもあります。飲み込む力が落ちると、食べ物や唾液が気管に入って起こる肺炎にも注意が必要です。さらに、残った歯に負担が集中して歯周病やむし歯が進みやすくなる点も見逃せません。噛む力の低下は、お口だけの問題にとどまらず全身の元気さに関わります。早めのご相談が、これからの健康寿命を支える一歩になると考えています1


咀嚼の力を無理なく取り戻すための主な治療方法


入れ歯やインプラントなど患者さまに合わせたお口の機能回復


失った奥歯を補う方法は、主に部分入れ歯、ブリッジ、インプラントの3つ。部分入れ歯は取り外して手入れができ、短めの期間で作製できることが多い方法です。ブリッジは両隣の歯を支えにして固定するもの。インプラントはあごの骨に人工歯根を埋め込む外科的な処置で、周囲の歯を整えずに済む一方、骨の状態や全身の健康状態の確認が欠かせません。どの方法にも向き・不向きがあり、検査結果とご希望を照らし合わせて選ぶことが大切です2。いずれを選んでも、治療後のメンテナンスを続けることが良好な状態を保つうえで欠かせません。


【よくある誤解】大掛かりな手術なしでは噛み合わせを改善できない?


「奥歯がないと大がかりな手術しかない」と思われがちですが、そうとは限りません。今お使いの入れ歯の調整や作り直し、噛み合わせのわずかなズレを整える処置によって、噛みやすさに変化を感じられる場合もあります。当院ではすべての診療において噛み合わせを考慮した治療を行い、見た目だけでなく機能面も含めて検討しています。まずは現状の把握から。歯科用CTや口腔内スキャナーで骨や歯並びを立体的に確認し、必要最小限の処置で済む道がないかを一緒に探します


お体の状態や費用のご都合に応じた無理のない選択軸


持病がある方や服薬中の方、通院の頻度を抑えたい方には、外科処置を伴わない入れ歯が現実的な選択となることもあります。保険診療で対応できる範囲と、自由診療で選べる素材や設計の違いについては、費用の目安を含めてご説明します。自由診療は費用がかかる分、装着感や耐久性の面で選択肢が広がり、将来の食生活や通院のご負担まで見据えた備えと捉えていただけます。ご家族と話し合う時間も必要ですので、その場での即決はお願いしていません。


ご自宅で手軽にできるお口の運動と食事の工夫


毎日の食事でしっかり噛むための調理法と食材選び


噛む回数は、調理のひと工夫で自然と増やせます。にんじんやごぼうは細かく刻まず乱切りに。加熱時間を少し短めにして歯ごたえを残すのもコツです。ご飯に雑穀を混ぜる、パンより玄米や根菜を選ぶといった方法も取り入れやすいでしょう。きのこ、海藻、こんにゃく、さきいかや小魚なども噛みごたえがあります。「ひと口30回」を目安に、ゆっくり味わってみてください。ただし今の歯の状態で無理をすると、残った歯やあごに負担がかかることも。無理なく噛める硬さかどうかを事前に歯科医院で確かめておくと、落ち着いて続けやすくなります1


お口の周りの筋肉をほぐして咀嚼力を育む簡単トレーニング


道具がなくても続けられる運動があります。代表的なのが「パ・タ・カ・ラ」と一音ずつはっきり発音する体操。唇や舌、のどの筋肉を動かし、食べこぼしや飲み込みにくさの予防を目的に広く紹介されています。ほおを膨らませたりへこませたりする運動、舌を上下左右にゆっくり動かす運動も、食事前の準備運動として取り入れやすい方法です。耳の下やあごの下をやさしくマッサージして唾液の分泌を促す方法も手軽。1日数分でかまいません。大切なのは強さではなく、毎日少しずつ続けること。ガムを噛む習慣も咀嚼の練習になりますが、砂糖不使用のものを選び、入れ歯や被せ物がある方は当院にご相談ください1


加古川市の河合歯科医院で始める優しい相談手順


長年放置してしまったお口のお悩みも丁寧に伺う診療姿勢


「何年も歯科に行っていないから、お口の中を見せるのが恥ずかしい」——そう感じて一歩を踏み出せない方は少なくありません。院長として日々診療していると、勇気を出して来院された方ほど、まず気持ちを受け止めてほしいと願っておられると感じます。当院ではカウンセリングルームを設け、現在の状態と今後の方針をわかりやすくお伝えすることを大切にしています。責めるような言葉をかけることはありません。まずは「相談だけ」でも構いません。院内はバリアフリー設計でエレベーターやスロープを備え、駐車場は12台分。ご高齢のご家族とご一緒でも通いやすい環境を整えています。


初回のご相談から無理のないケア計画作成までの具体的な流れ


初診はお電話またはWEB予約から。当日は受付で保険証をご提示いただき、問診とカウンセリングでお悩みやご希望を丁寧に伺います。続いてお口の状態を詳しく把握するための検査を行い、必要に応じてレントゲン撮影や口腔内写真を撮影。その結果をもとに治療計画をご提案し、内容・期間・費用をご説明したうえで、ご納得いただいてから進めます。処置後は1〜3か月に一度のメンテナンスで、セルフケアでは落としきれない汚れを取り除きます。噛む機能を守ることは、これからの暮らしを支える土台づくり。加古川・高砂・播磨町周辺の皆さまのご相談をお待ちしています。


よくある質問


Q1. 噛まないと認知症になってしまうのでしょうか?

A. 噛まないことが直ちに認知症を引き起こすとは断定できません。ただし、歯の数が少ない方や噛みにくさを抱える方で認知機能の低下がみられやすい傾向を示した調査は複数報告されています。生活習慣や運動、人との交流も含めた総合的な予防の一環として、噛む機能を保つことをお考えいただくとよいでしょう。


Q2. 認知症の原因として多いものは何ですか?

A. 一般にアルツハイマー型認知症が多いとされ、次いで血管性認知症、レビー小体型認知症などが挙げられます。詳しい診断や治療は医科の担当領域ですので、物忘れが気になる場合は医療機関へご相談ください。歯科は口腔機能の側面からサポートいたします。


Q3. 認知症の予防で言われる「三原則」とは何でしょうか?

A. ご本人への接し方として「驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない」という考え方が介護の現場で共有されています。口腔ケアや食事の介助でも同じ姿勢が役立ち、ご本人のペースを尊重することが大切とされています。


Q4. 何年も歯科に通っていなくても受診できますか?

A. もちろん可能です。まずは現状を把握するところから始めます。無理に大がかりな治療をおすすめすることはなく、ご希望や体調、ご予算を伺いながら進め方を一緒に考えます。


Q5. 持病があってもインプラント以外の方法で噛む力を補えますか?

A. 部分入れ歯やブリッジ、今お使いの入れ歯の調整など、外科処置を伴わない方法で対応できる場合があります。全身の状態を確認したうえで、ご負担の少ない選択肢をご提案します。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構「Minds ガイドラインライブラリ」 https://minds.jcqhc.or.jp/


河合 秀樹

歯科医師


河合歯科医院

院長

河合 秀樹

▶ 監修者プロフィール

経歴
1999年 愛知学院大学歯学部卒業
1999年 大垣市民病院 研修医
2001年 県立多治見病院口腔外科 勤務
2002年 河合歯科医院 勤務医
2007年 河合歯科医院 副院長 就任
2015年 河合歯科医院 院長 就任
2019年 医療法人社団河合歯科医院 理事長 就任