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矯正中にむし歯が見つかったとき、まず知っておきたいこと
矯正装置を着けている最中に「ここがしみるかも」と気づくと、装置を外すことになるのか、期間が延びてしまうのかと気がかりになりますよね。進み具合と装置の種類しだいで、進め方は大きく変わります。 この記事では、装置を外す判断の目安、処置と矯正を並行するときの通院の流れ、期間への影響を整理してお伝えします。
この記事の要点まとめ
- むし歯の進行度と部位により、装置を外さず並行処置できる場合と一時的な取り外しが検討される場合がある
- 神経処置等を伴うと計画に数週間〜数ヶ月ほど影響することがあり、自己判断での中断は後戻りにつながりやすい
- 精密な処置や日々の清掃、定期メインテナンスの組み合わせが計画継続の助けとなる
矯正中のむし歯治療における装置取り外しの判断基準
矯正中にむし歯が疑われても、装置をすべて外さなければならないとは限りません。判断のカギになるのは「どこまで進んでいるか」と「装置がその歯面にどう重なっているか」の2点。まずはレントゲンや歯科用CTで状態を細かく確認し、進行度(C1〜C4という段階で表されます)に応じて方針を組み立てていきます2。
装置を外さずに並行して治療を進められるケース
エナメル質にとどまる初期段階や、ブラケット(歯に貼りつける小さな装置)から離れた歯面の浅いむし歯であれば、装置を着けたまま処置を行える場合があります。ワイヤーだけを一時的に外して視野を確保し、その日のうちに詰め物まで進めて再びワイヤーを通す、という流れです。軽度のうちに対応できれば、矯正のスケジュールをほとんど乱さずに進められるケースもあります。
ごく初期の白く濁った程度の変化であれば、すぐに整える処置に入らず、フッ素の応用と清掃指導で経過をみる選択肢も考えられます1。
ブラケットや器具の一時撤去が必要となる状況
反対に、装置の真下にむし歯が広がっているとき、あるいは歯の神経に近い深い部分まで進んでいるときは、その部位の装置をいったん外して処置を行います。神経の処置(根管治療)や被せ物の作り直しが必要な場合は複数回の通院が前提になるため、その歯の移動を一時的にお休みする判断をとることもあります。
最終的な方針は、歯科医師がお口全体の状態を確認したうえで判断いたします。痛みや違和感を覚えた時点で、早めにご相談ください4。
マウスピース矯正とワイヤー矯正での対応の違い
インビザラインに代表されるマウスピース矯正は、ご自身で取り外せるぶん処置そのものを進めやすい点が特徴です。ただし詰め物によって歯の形がわずかに変わると、それまでのマウスピースが合いにくくなり、作り直しや再スキャンが必要になることもあります。ワイヤー矯正は固定式で着脱に手間はかかるものの、歯の形が変わっても調整で対応しやすい面があります。装置の種類によって「手間のかかる場面」が異なる、と捉えておくと理解しやすいでしょう。
むし歯治療と矯正を並行する通院スケジュールと期間への影響
「どのくらい延びるのか」は、多くのかたが気にされる点です。結論から申し上げると、影響の大きさはむし歯の深さと、通う医院の体制によって差が出ます。
むし歯処置を挟むことによる矯正期間への影響度
小さな詰め物で完結する処置であれば、追加の通院1〜2回程度で、全体の期間にほとんど響かないことも珍しくありません。一方、神経の処置や被せ物の作り直しが必要になると、その歯の移動をいったん止めるため、数週間から数ヶ月ほど計画が後ろにずれる可能性があります。
また、矯正を自己判断で中断すると、動かしかけの歯が元の位置へ向かう「後戻り」が起こり、結果として期間も費用も余分にかかることがあります。むし歯が見つかったときこそ、中断ではなく「並行して進める」ご相談をおすすめします。
矯正歯科と一般歯科を併用する場合の受診手順と連携
矯正は矯正歯科を主に扱う医院、むし歯治療は別の一般歯科で、という形の場合は「矯正の医院で装置を外す → 一般歯科で処置 → 矯正の医院で再装着」という三段階の予約が必要になります。それぞれの予約枠が埋まっていると、着脱の間隔が空いてしまうこともあります。
スムーズに進めるうえで助けになるのが、紹介状や口腔内写真・レントゲンデータの共有です。再装着に費用が生じるかどうかは医院ごとに規定が異なるため、事前に着脱時の取り扱いと費用の考え方を確認しておくと、見通しを立てやすくなります。
総合的な歯科医院で並行して処置を受けるメリット
同じ医院で矯正管理とむし歯治療の両方を受けられる場合、装置の着脱と処置を同日にまとめられることがあり、通院回数や待ち時間の負担を抑えやすくなります。噛み合わせ全体をみながら計画を組み立てられる点も利点といえるでしょう4。
当院は総合歯科医院として、むし歯や歯周病といった部分的な治療にとどまらず、噛み合わせやお口全体のバランスを考えた診療を行っております。歯周病治療・セラミック・矯正・入れ歯・インプラントなどの経験を重ねた歯科医師が在籍し、カウンセリングルームで治療内容や期間をご説明したうえで進めてまいります。育児やお仕事と両立しながら通われるかたのために、予約システムやキッズスペース、大型車も停められる駐車場もご用意しています。
歯の形態を保ち計画通り進めるための精密処置と予防管理
矯正中のむし歯処置は「処置をして終わり」ではありません。歯の形をできるだけ変えずに整えることが、その後の歯の移動や噛み合わせに関わってきます。
マイクロスコープ等を活用した歯質と形態の保持
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)で視野を大きく拡大すると、悪くなった部分と健全な部分の境目を見極めながら処置を進めやすくなります。健康な歯の部分を多く残せれば、歯の形の変化も小さく抑えやすく、装置の再装着やマウスピースの適合への影響を減らすことにつながります。
当院ではマイクロスコープや歯科用CT、口腔内スキャナー、院内で詰め物を設計・作製できるセレックシステムを備え、状態を細かく把握したうえで診療を行っております。詰め物や被せ物と歯の境目にわずかな段差が残ると、そこから再びむし歯になることがあるため、仕上がりを拡大視野で確かめる工程を大切にしています。
装置装着中のセルフケアと器具周辺の清掃方法
矯正装置の周囲は形が複雑なぶん、どうしても汚れがとどまりやすくなります。歯ブラシは装置の上下から斜めに毛先を当て、ブラケット1つずつを意識して小刻みに動かしましょう。さらに、毛束の小さいタフトブラシでワイヤーの下や歯と装置の境目を、歯間ブラシやフロスで歯と歯の間を補うと、届く範囲がぐっと広がります。
フッ素配合の歯みがき剤やジェルの併用も、日常に取り入れやすい方法です1。就寝前はとくに丁寧に——そう意識するだけでも、積み重ねが変わってきます。
パウダーメインテナンスによるプラークの除去
セルフケアでは落としきれない細菌のかたまり(バイオフィルム)には、専用の細かなパウダーを吹きつけるクリーニング機器を用います。当院ではEMSエアフローを導入し、装置の周囲や歯と歯ぐきの境目に付着した汚れへ配慮したケアを行っています。予防やクリーニング専用のフロアを治療エリアと分けているため、落ち着いた環境でメンテナンスを受けていただけます。
矯正期間中は1〜3ヶ月に一度の定期的な管理を組み合わせることで、むし歯が再び生じるリスクを抑えながら計画を進めやすくなります34。
よくある質問
Q1. むし歯治療と歯列矯正は、どちらを先に進めるのが一般的ですか?
A. 矯正を始める前にむし歯が見つかっている場合は、むし歯の処置を先に整えてから矯正へ進むのが一般的な流れです。装置を着けたあとは清掃が難しくなるため、お口の環境を整えてからスタートする、という考え方がとられます。矯正の途中で見つかった場合は、進行度に応じて並行するか、一時的に歯の移動を止めるかを判断します。
Q2. 矯正とむし歯治療は同時にできますか?
A. 浅いむし歯や装置から離れた部位であれば、装置を着けたまま、あるいはワイヤーのみ一時的に外して処置できることがあります。深い部分まで進んでいる場合は、その部位の装置を外して段階的に進める方法をとります。個々の状態によって異なりますので、診査のうえでご説明いたします。
Q3. 装置を一度外すと、再装着に追加の費用はかかりますか?
A. 医院ごとの契約内容や規定によって取り扱いが異なります。矯正費用に含まれている場合もあれば、別途の扱いとなる場合もありますので、治療開始前や処置前に確認しておくとよいでしょう。
Q4. むし歯治療で歯の形が変わると、マウスピースは作り直しになりますか?
A. 詰め物の大きさによっては、それまでのマウスピースが合いにくくなり、再スキャンや作り直しが必要になることがあります。小さな処置であれば継続して使える場合もありますので、処置前に矯正の担当医と共有しておくと計画を立てやすくなります。
Q5. 矯正中の歯の痛みと、むし歯による痛みが重なったときはどうすればよいですか?
A. 調整直後の締めつけ感とむし歯の痛みは性質が異なることが多いのですが、ご自身では判別しにくいこともあります。市販の痛み止めで様子をみる前に、まずご連絡ください。処置の際は必要に応じて麻酔を用い、体調やご服用中のお薬も伺ったうえで対応いたします。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構「Minds ガイドラインライブラリ」 https://minds.jcqhc.or.jp/
3. 日本小児歯科学会 https://www.jspd.gr.jp/
4. 公益社団法人 日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/
1999年 大垣市民病院 研修医
2001年 県立多治見病院口腔外科 勤務
2002年 河合歯科医院 勤務医
2007年 河合歯科医院 副院長 就任
2015年 河合歯科医院 院長 就任
2019年 医療法人社団河合歯科医院 理事長 就任
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